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2006/10/19

『カポーティ』(ネタバレで)

『ティファニーで朝食を』後トルーマン・カポーティが
"ノンフィクション小説"『冷血』をモノにするまでの話。

抑えた音楽、丁寧で抑えた心理描写で進行する中
少し青褪めた映像の上に太字ゴシック体で
"HUMANITY"と大書きにしたようなストーリーは
見やすかったですね…。

ただ、一般的な、死刑囚との交流を通じて
犯罪者の人間性を知り、自分の価値観を変えられ、
人間の尊厳ってやつに深く感動する、
って話じゃなかったのがよかったかと。

コミュニケーション不全の自己中心主義者でありながら
他者から心動かされたりすることもあるカポーティの
"冷血"と情愛の両立具合がテーマで、
ああまさに人間性!って感じ。

つまりふつうのヒューマニティものより
他者との関係の微妙さを扱ってたのが
よいポイントでした。
犯罪者が実はいい人間だったとわかったら
すべての感情面での障壁が瓦解して
大団円にもつれこんじゃうあのお約束
感動もののノリじゃ全然なくて、
決してなくならないコミュニケーションの
本質的問題とそれと同時に存在する
希望の抑制された描き方、
他者への理解や情愛はその問題の解決法には
とって代わらないが…っていうあのへんに、
ああ真っ当ないい映画見た、
って気持ちになりました。すごい良心的な話。

脇を支える役者陣も見事なキャスティングでした。
ちょっとくたびれた強い女風の
キャスリーン・キーナーなんかは特に。
トルーマンの自己愛ぶりと
それでも見捨てられない人間性に
長年振り回されてきました、ってくたびれ具合は、
助演の鑑って感じです。
まさに主演のキャラクターを補完・サポートするいい働き。

それにしてもフィリップ・シーモア・ホフマン、
ほんとそこまでやるか的、役にダイブする大ワザ演技。
あれでなんの賞もとれなかったりしたら
虚しくなりますよね。ああなんか、まるっきり
方向性間違えたままやりすぎちゃった?みたいに。
当然オスカーくらいくれてやろうよ!
って気分になりました。
みなさんそう思ったってことでしょうか…。


ところでペリーと自分を指してのトルーマンの台詞、
僕らは一緒に育ったが、ある日彼は裏口から出て行き
僕は表玄関から出た、
ってあたりはなかなか。
感動的なシーンだったと思うんですが、
ただしカポーティが表かどうかは、どうなの…。

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