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2006/08/27

『I Am Trying To Break Your Heart』感想。

I Am Trying to Break Your Heart (2pc) (Dol)

またWilco。思い出したように波がくる。

名アルバム『Yankee Hotel Foxtrot』製作時の
ドキュメンタリーフィルムなわけですが、
これが音楽ものとして申し分のない出来。

ファンならこれ見て気に入らないはずがない。
ていうかこれ見てファンにならないはずない。
そのくらい一般的に、それにまつわる喜怒哀楽すべてが
美しいんだという音楽の魅力をフィルム化してます。

バンドがアルバムをつくり上げることが
どれだけ困難で素晴らしいことか、十二分に実感できる。
(Wilcoファンにとっては別にネタバレではない↓)
ジェイ・ベネットがバンドをやめる過程なんかや(ていうかクビ…)
レーベルをリプライズから同じくワーナー傘下の
ノンサッチに変えるまでのもめ
なんかを主軸に、
非常にうまく普遍的に、アルバム製作における
苦労や喜びを美しいロードムービーの中にまとめてるわけです。

そして白黒の映像であることを忘れる、監督サム・ジョーンズの
構成の美しさ。なんでドキュメンタリーで、あんな
役者を設置したとしか思えないようなアングル、
そして話の展開になるんでしょう!

常にカメラをまわして引っついてると、あんな素晴らしいシーンの
よりぬきが可能になるんでしょうか。
そうでもしないと、トラブルの一々なんかも
あんなふうに収められないですよね。

バンド随一の面倒な男、ジェイ・ベネットの
暴れぶりがまた、見事に捉えられちゃってますしね…。
本人はジェフにクビって言われて
(「これ以上あんたと一緒に音楽つくれない」、って)
バンド内の力関係の問題みたいに言ってましたが、
そういうことじゃないと思うよ…。
そのものわかりの悪い絡みぐせがさ


全編とおして流れる曲が、アルバムからもってきたBGMじゃなく、
デモやライヴ、レコーディング中の音源だったりするのがまた、
ひどく胸にくる。なにしろリアル。

コンテンポラリーに分類されたりもしますが、
あのジェフのいつまでたっても少年のような安定の悪さ、
(デブ腹だけど!)
music is my savior
I was maimed by rock 'n' roll
(I was tamed by rock 'n' roll)
I got my name from rock 'n' roll
って歌う様子見て、なんだってロック以外だなんて言えるのか。

ジェイとの諍いの合間に映る、吐き戻すジェフの映像だとか、
それを偏頭痛のときはいつもだ、子どものころなんかもっと吐いて
脱水で病院行きになったなんて言うジェフの表情だとか、
そして"Misunderstood"の Nothin'Nothin'Nothin'...という繰り返しを
それこそ吐くんじゃないか、というほど絶叫する様子なんか、
ロックアイコンか!というほどロックファンの胸をうつ、はず。
曲聴いてるだけでも胸がつまるようなジェフの歌に
こんな映像プラスされたら堪りませんよ!

どうしてもバンドの看板になってしまって
プレッシャーも大きいだろうと言われるジェフですが、
やっぱりあの様子に胸つかれないわけないです。

ただ、ソロ・ツアーの映像なんかもあって
全体にジェフの才能の素晴らしさを実感するんですが、
結局はそのジェフがバンドで曲をつくってることが
なにより素晴らしい、って思えるよいドキュメンタリー。


ちなみにプロモすると、リイシューとして2500円くらいの廉価版も
出てるようです。特典とかなくなってるのかもしれませんが。
US盤しか存在しないようですが、リージョンフリーなので安心。
あと英語字幕はちゃんと入ってるので、
少なくとも英語音声のみよりだいぶまし。

なのでジェフの歌はもちろん、彼をポエットとしても好きな人間には親切な、
全曲リリックつきの映像が見られるわけです。
それがまた、ひどく胸をうつ。
またファンになってしまいました。

まあそんなわけで、上の感想に出てくる
ナンバーワン語が"胸"ということからもわかる、
非常に感動的な音楽ドキュメンタリーなわけです。必見!
(↑別にタイトルに引っかけたわけでなく、単にわたしの語彙力が…)

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