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2006/03/22

『南極物語』お犬様感想。

(原題:『Eight Below』)


字幕版の上映館、ばかみたいに少ないんですけど!
吹替え版の多さは大作クラスなのにどういうこと。
誰が対象なのさ。子ども?
…高倉健に泣いた人か?

とかいっててすみません、今わかりました。
犬です。犬見に行く人です。
確かに言語なんてどうでもいい。


そんなわけで、わたしも犬を目当てに見に行ったので、
結構なんでもよかったんでした。お犬様たちが
愛する主人のジェリー(ポール・ウォーカー)とラブければ
いいんじゃない、と。(でも見たのは一応字幕版)
その点で及第。


ジェリーが一頭一頭の名前を呼びながら声をかけ、
ちゃんと犬紹介をすすめてくれる中、
特にメスのアルファ・リーダー犬マヤに対する
愛の注ぎっぷりったら!

グッド・ガール、マーヤ!に始まり
ベスト・ガール、マイ・ガールって連呼する
エコ贔屓ぶりはむしろ気持ちよかったです。
マーヤにばっかりキスしまくり。
俺の利口なかわいいマーヤ、って感じで始終愛を注ぐ。
マーヤもおとなしく従順で、かわいい。

そのほかやんちゃな若造マックスとかのキャラを立て、
犬たちの統率やら仲間意識やら成長やらを描いてたのは
いいんじゃないですか。かわいいし。

2頭だけアラスカン・マラミュートが混じってて、
やけにデカイのもかわいい。

映画全編とおしてのオチ役、ちょっとうざいくらいのオチ役
クーパーが苦手にしているマラミュートのバックなんか、
伸びればクーパーと同じくらいありそうだ。
54.5キロっていうからかなりの大型。
大型犬好きには胸躍るサイズ。

全体にさすが役者犬、美しい犬ばっかりで、
雪原でソリ牽くシーンなんかは溜息もの。
愛すべきお犬様がごろごろ。わさわさ走る。


フランク・マーシャルの、雪景色ならまかしとけ、って映像とか、
対象を中心にした日の丸な構図のカットなんか決して
撮るもんか、といわんばかりのバックの空間を活かした
アンバランスな構図の映像もよかったです。


ポール・ウォーカーも、いかにも犬が好きそうな
好青年ぶりがよく似合ってました。
あんたカリフォルニア出身だろう、って男にしか
出せないちょっとヌケてて朗らかな好青年ぶりが。ハンサムだし。
小柄だけど寒冷地ファッションでカバー。
すごいナイス・キャスティングだった。

(と書いたあとにポール・ウォーカーが
公称6フィート3インチ(191cm)の大男らしいと知りました。
…いくらなんでもそれはウソだろう、と調べてみた結果は
こちら。まあデータ的にはどこ見ても6'3")

まあそんな感じで、及第。


(以下ネタバレ)

(以下悪態)


ただ、犬が。死にゃしねえ。
(ミもフタもない)

なにしろディズニーなので、案外生き残ったりしてね、
って最初っから覚悟はしてたつもりだったんですが、
これが、予想外に死なない!

2頭より多く生き残りそうな感じと、泣き所のなさに、
途中から何頭生き残れるか、より、
何頭生き残ってしまうのか、に気をとられる。

死ぬってわかってるけど死なないで!がんばって!
って気分になりたいじゃないですか。
え、もう死なないの、って思わされるような
映画なんていやなんですよ。

別にわたしだって、映画の悲劇性出すため、
というか、泣ける映画つくるためだけに
あえて犬死なせろとは言いませんけど、
実話よりドラマ度落としてどうする!

命を落とすほどの苛烈な自然の中で生き延びるからこそ、
生き残った犬たちの勇敢さと健気さが
伝わるんじゃないんですか。
自然の厳しさと美しさはこの場合必須アイテムです。

これ、だって、生存率75%ですよ? 
4打数3安打ですよ?
(1頭は打席にすら立ってないから8割5分7厘かもしれん)

なんか、残念なことに、せっかく生き残っても
ああそう、というか、犬は南極に置き去りにしても
なんとかなるもんだ!というか。

ジェリーはたぶん心の傷引きずらないし。
オールド・ジャックは年だったから仕方ないよね的
諦めがつくし、(死体も確認したことだし)
デューイがいなくなっちゃったことだけが
長い人生で時折思い出されるんでしょうけど、
なにしろ最愛のマーヤが劇的に助かっちゃってるので
全体としてはオーライ!あんな状況でよく6頭もがんばったね!
っていい思い出化しそうな気がしてならない。

最後に出る、犬たちの勇敢さを称えるために
この映画をつくった、という献辞が、
だから死ぬ頭数少なくても仕方ないよね、
と免罪符的に言っているようで、ほんとにもう。
これだからディズニーはよ、って悪態。

どうにも、子どもとか犬好きにショック与えない感じに仕上がってます。
愛護団体に南極探検隊責められずしてすみますよね。
悲劇度がくんと落としてますから。
そういうのを偽善と呼ばずして、なにを偽善と。
死んでった犬の冥福祈らずしてどうするのかと。

悲劇の中にこそ、それでも人間を待っていてくれた
犬たちの健気な愛情があるんじゃないんですか。
置いていってごめんよ、それなのに待っててくれて
なおさらごめんよ、おまえたちを心底愛してるぞ、って
犬の無条件の信頼と愛情に胸塞がれて号泣しちゃうようなところに
人と犬の絆ってやつがあるんじゃないんですか。


…おそろしいことに、泣かずじまい。

途中、犬たちがマーヤをリーダーだと認めるシーンと
最後ジェリーが横たわるマーヤを見つけて、
落ち着け、うろたえちゃだめだ、って必死に平静を保とうとしながら
初めて涙をこぼすシーンではちょっと感動しましたが。

感動大作なのに涙なし?!って自分にちょっとびっくり。
なにしろこのままディズニー根性で押し切るのか?って
ことばかりに気をとられてたんで。


同じ話でもディズニーじゃなかったらあるいはこんな
文句言ってないのかもしれませんが、
なにしろ実際ディズニーなんだから!

くたばれ偽善ぬるま湯主義。
っていつもわたしをとげとげしい気持ちにさせるディズニーは
もしかして愛と夢のかたちをしたアンチテーゼなんですか。


とかいって公式ページ行って犬たちの画像アイテムとかを
ひととおり集めてきてんだから、わたしも相当、バチあたりです。
しょうがないじゃん、犬かわいいんだから。

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コメント

そんなに死んだほうがいいですか?
あぶり出しのコメント最近まで知りませんでした。スイマセン。いつになく穏やかな好意的コメントに安心しながらこの記事も拝読。拝読?続きがあります・・
しかしながら言い放ちぶりに清々しく笑ってしまいました。安吾お前もか?ディズニーは独善的欺瞞を売り物にしてます。蹴散らせ暴けファーストライフ!応援してます。
追:でもフランダースのように悲しいのは嫌ですね。かわいそうで泣けて泣けて、もうやめてくれぇって感じでした。ああいうのは反則ですよ。南極日本版も役者犬だったということに唯一救われました。

投稿: 南極次郎 | 2006/03/28 21:02

すみません、いつもどおりキレてました…。
どうもご都合主義加減に不満がつのり…。
でも前半だけでも穏やかかつ好意的だったなら
ディズニーの犬的策略も充分成功してますよね!
犬のかわいげにはしっかりやられましたから。

投稿: kishi | 2006/03/30 00:29

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