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2006/02/05

『ビヨンド・ザ・シー 夢見るように歌えば』正気感想。

(原題:『Beyond the Sea』)(2004)

ボビー・ダーリン:ケヴィン・スペイシー
子ども時代のボビー(ウィリアム・カッソート):ウィリアム・ウルリッチ
サンドラ・ディー(妻):ケイト・ボスワース
スティーヴ・ブラウナー(マネージャー):ジョン・グッドマン
チャーリー・マフィア(義兄、ニーナ夫):ボブ・ホスキンス
ポーリー・カッソート(母):ブレンダ・ブレティン
ニーナ・カッソート・マフィア(姉):キャロライン・アーロン

実在の歌手ボビー・ダーリンの生涯。
心臓が悪く、15歳までしか生きられないと言われたボビーは
エンターテイナーとしての成功という母との夢を支えにステージを目指し、
やがて若いサンドラ・ディーとの恋、結婚などを経て
ショウビズ界での成功を収める。
その後仕事と結婚生活の両立や時代の変化などの
問題に直面し、成功と零落を経験するボビーの人生を
自伝映画撮影の形で振り返るミュージカル・ドラマ。
主題はたぶん家族愛。マネージャーなんかも含めてのファミリー愛。


Beyond_the_Sea_05

初めてこの→画像見たとき、ケヴィン・スペイシーのベタ感に
かなり笑ったわけです。

歌手自伝ものでこのコテコテ感!とか思って。
そんで監督もスペイシー本人だと知って、びっくりしました。
正気?! と。このコテ感を自分で演出?! 
しかも脚本。しかも自分で歌う。
自分大好きのおかしい人じゃないとこれは結構きびしいぞ、と。

で、ようやく確認に。


で、結論として、ケヴィン・スペイシー、驚くほど正気です…。
つっこみポイントをすべて先回りして自分でつっこんでいく…。

ボビー・ダーリン自身が自伝映画をつくるという重層構造で
キモとなる子ども役のミニ・ボビーを登場させ、
これに過去と現在をクロスさせる虚構演じさせながら
彼に作中の自伝映画、ひいてはこの映画自体の虚構を指摘させ、
堂々と他人のつっこみをかわすという。超正気…。

まず記者がボビー・ダーリンにあなたはこの役を演じるには
年を取りすぎてるのでは?と訊く。ここで36歳で逝去した
ボビーの若者時代から44歳のケヴィン・スペイシーが演じるという
無理感に、ちょっと違和感抱いてる観客にいきなり先制。
うーん、黙らざるを得ない…。

そしていきなり始まった子ども時代のミュージカル・シーンのあとでは、
ミニ・ボビーがウソだ、ほんとは踊ってなかったよ、っとつっこみ、
いいんだ、思い出は月光のようなものだ、好きなようにできる
ってフィクションを織り交ぜることの承諾を
早々に観客に取り付けにかかります。

どこまでも抜け目ない脚本…。感心しました。

あとこれは実話だったみたいですが、髪の薄さもすばやく
つっこみが入り、カツラを着けるという話になったので、
ケヴィンの額の危なさもフォロー万全。

映画の終わり方も、しっとり感動的というかお涙的に
終わるのかと思いきや、ミニ・ボビーが、こういうんじゃないでしょ、
とつっこんでくれます。えらい。
そして明るい"As Long as I'm Singing"でフィナーレ突入。
ミニ・ボビーの立派なダンスぶりにも感心させられました。

ほんと、ケヴィン・スペイシー見直しました。
構想10年の念願の映画を、監督・脚本・主演、
吹替えなしの歌いまくりでつくって、この程度のズレで済むなんて。
いやらしさぎりぎりのところで、俺だってわかってんだよ的かわしがひらめきます。
歌もヴォイス・トレーニング積んで努力しただけあって、違和感なし。
ダンスはちょっと、あれでしたが。ご愛嬌。

最後、ミニ・ボビーが「僕の代わりにあなたが受け取って」って
投げた時計が、キャッチしたボビー・ダーリンの手の中で
マイクに変わってたのにはちょっと、あ、狂気?
って思いましたが。あほくさくベタすぎ…。
全体によくコントロールされてたと思います。


いやあ笑いましたけどね。つっこみ封じされても
笑っちゃうもんは仕方ないです。
記者まいて、サンドラとふたりで初デートへ走り出すシーンでは
あのおっさんくさい走りにハラハラしました。
そのあと盗んだスクーターに二人乗りするところなんかも。ベ、タ…。

ケイト・ボスワースはよかったですねー。
特に結婚前の、あのあんまり頭はよくなさそうなブロンド、
無垢な小娘感がものすごいよかったです。
そしてそれを口説く老けたボビーのケヴィン・スペイシーも、
(ほんとは当時23歳くらいだったらしいですよ!)
キモさの一歩手前でステキでした。
いや、線越えてたのかな…。

でも初夜に戸惑うサンドラのために、ベッドに境界線の剣を置いてやり、
それを前に立ち尽くすふたりの間抜け感とか初々しいかわいげには、
ああこりゃオチるな、誰でも。ってちょっと思いました。(誰でも?)
まあ基本ケヴィン好きなんで…。


泣きポイントもそれなりに押さえ、ミニ・ボビーの存在を忘れたあたりで
肝心の、姉ニーナが実は母親だった、と告白する場面に登場させ、
じゃあ父さんは誰なの!と叫ばせる。
これケヴィン・スペイシーが泣いて取り乱したりしたら
あんまり悲しくない場面になるところを、子どもの高い声で堂々カヴァー。
ボビーかわいそう…。って騙されました。

ストーンズの"Let It Loose"がその泣き場面でかかるのには
ちょっとびっくりしましたが。
ケヴィン・スペイシーの歌以外、あとはディープ・パープルの
"Hush"くらいだったんじゃないですか。
このへんの選曲はちょっと不思議。
全部スペイシーの歌で押してくのかと思ってたのに。時代感?
でもああいうときのストーンズは泣けます。

ていうか脇役、マネージャー役のジョン・グッドマンとか
義兄役のボブ・ホスキンスとか、こういうメンツ揃えられたら
そりゃまとまりつきますって。

予想外になかなか正気な、いい映画でした。

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