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2005/12/29

『エクスカリバー』不忠義感想。

(原題:『Excalibur』)(1981)

↓IMDbから写し。
Directed by John Boorman
Writing credits
Thomas Malory (book)
Rospo Pallenberg (adaptation)
Cast overview, first billed only:
Nigel Terry .... King Arthur
Helen Mirren .... Morgana
Nicholas Clay .... Lancelot
Cherie Lunghi .... Guenevere
Paul Geoffrey .... Perceval
Nicol Williamson .... Merlin
Robert Addie .... Mordred
Gabriel Byrne .... Uther Pendragon
Liam Neeson .... Gawain
Niall O'Brien .... Kay

マーリンのおちゃめさ、及びランスロットと王妃の忠義根性の足りなさが
2本柱のお話だったとの理解でよろしいでしょうか。

トマス・マロリーの『アーサー王の死』を140分に
さくっとまとめた感じのものなので、ふつうにネタバレで。
いつもどおりのアーサー王伝説です。

いつも思うんですけど、アーサー王ってなんで
ナイジェル・テリーとかみたいなのばっかなんですか。
ランスロットに妻寝取られること前提のキャストだからですか。
英国寝取られ亭主の系譜ですか。

思慮深い賢君だけど男としてどうなの、または朗らかでいい上司だけど
男としてどうなの、みたいな役柄多くないですか。
役者もそんなんばっかじゃないですか。
(クライヴ・オーウェン違うけど。寝取られなかったけど。
でもやっぱり普段よりしょぼめで出てた。フェロモン40%カット)

そしてなんでランスロットと王妃はいつもあんなに
のさばってるんですか…!!
今回もひどい。
明るいうちに森にいるランスロットの元へ忍んでいったグエイネビア、
日が暮れてもまだ素っ裸で抱き合ってます。
夜中になっても丸裸のまま森で抱き合って眠ってます。
なんていうか、せめてさ、罪悪感あるんだったらさ、
森で6時間以上素っ裸ってのはやめようよ。
(夏の夜が短いことを差し引いても!)
そりゃアーサーにも気づかれて、抱き合った体の間に
エクスカリバー突き立てられますよ。

すごいんですよ、夜のうちに眠る二人の真横に立ったアーサーが、
殺すか殺すまいか逡巡の末地面に剣突き立てていったのにも気づかず眠り続け、
日が昇って目が覚めてからエクスカリバー見て飛び退く二人。
最低だ。あんたらが恋の機微とか言うな。
背中からまとめて串刺しにされても文句は言えない。

このシーンの前のエピソードが以下。
酔ったガウェイン(リーアム・ニーソン)がランスロットのいない円卓で、
王妃とやつができてるって告発するんですが、王は公正を期して
自分では不敬だともなんとも言わず、ランスロットとガウェインを決闘させよう
って言います。これにグエイネビア、どうして庇ってくれないの、と責め、
アーサーに、王として法を守らねば、夫である前に王だ、
と言わせるまで食い下がります。
私と仕事どっちが大事なのと詰め寄る妻のセリフです。

まるで身に覚えがないならともかく、ランスロットの方が好きなくせに、
アーサーを責めるわけです。ひどい。
せっかく我慢してまだ潔白なのに!と言わんばかりです。(いや言わないけど)
いやもう、そんなのあなた方の勝手ですよ、ってわたし脱力。
むしろとっととデキ上がってくれた方がよっぽどラクですよ。
王として親友としてアーサーを裏切れないって言うランスロットと
王として夫としてアーサーを裏切れないっていうグエイネビアの
いい言い訳じゃないですか。まだ寝てないもん、て。
どうせ寝るならさっさと寝ろって!
気持ちよく裏切って罪とが受けろって!

で、この決闘のあとさくっとグエイネビアが忍んでいったわけですが。
そしてアーサーがエクスカリバー捨てて国崩壊という罰があったわけですが。

いかん、まだまだ文句が。
どうも君主裏切る間男ハンサム臣下の立場がよすぎる気がするんですよ。
アーサー王に限らずですが。
いっつも思います。悲恋とかロマンスって言葉に騙されるな。
ただ下半身の抑制が利かない忠誠より衝動が上の方たちですから!って。
主人のために我慢したとか忍ぶ恋とかって、忍び切ってから言えよなあ。

土地が荒れ、国がめためたになったあとのランスロット、
恐ろしいことにアーサーを責める立場にまわってます…!
ボロ布を着た聖職者のようになって、王は国の繁栄を約束したが
実際はどうだ、みたいなことを民衆に。
…ええと、国が荒れたのはあなた方の欲望にアーサーが
傷ついてしまわれたせいじゃないんですか…。
盗人猛々しいとはこのことですか…。

あー怒りすぎ。
でも今回そんなにひどくはなかったんですよ、つっこむ余裕があるくらいで。
描き方がひどいときはものも言えないくらいキレてます。
ていうか原作の厚かましさにくらべれば全然。
今回は、もうそんな王妃はランスロットにでもくれてやれば、
ランスロットもろとも追放すれば、くらいののん気さで見てました。
いやでもいちばん悪いのは、それでも妻と臣下を愛してるアーサーですよね。
断罪する根性が足りないというか腑抜けというか。
気を取り直したアーサーが、再会したグエイネビアに
すべてがよくなったらもう一度夫婦に、そのときはただの夫として、
みたいに言うのにがっくり。その女の心はランスロットのものだっていい加減気づこうよ。
まさに寝取られ国王でいいんですよ。ええ。

もう1本の柱のマーリンは、おちゃめ全開でした。
バランス崩して川にぶっ倒れたり。
父王(粗野風ガブリエル・バーンだった…)の欲望叶えるために
力消耗して、9ヶ月も眠りについたことを結構くどくど根に持ったり。
これがわからないんですよね。
たかが他人の妻イグレーンと一晩でもいいから寝たい、
っていう望みのために、なぜドラゴンまで使った大奮闘。
9ヶ月とか言う前に、そんな大技使わなきゃいいんじゃないですか…。
ちょっと幻覚見せる小技とかないんですか。

突然現れるマーリンは突然歩いてやってくるとかで、
出たり消えたりじゃないんですね。ちゃんと2本の脚使って生きてるんですね。
アーサーの異父姉モーガナにはちょっと色迷いかけてるし。
モーガナ(ヘレン・ミレン)はよかったですね。
グエイネビアのかわいい小娘風に対して明らかな悪女ぶり。素敵でした。
マーリンを手玉にとるところが特に。
でもマーリンに仕返しされて年相応に老けたところでびっくり。
ほかのみんなが20年の経過を老けメイクだけでこなしてるのに、
魔法の力が抜けたモーガナ、老けメイクどころか老婆役者に。ええ?!
露出度の高い服着てたから、哀しい。ひどく哀しかったですよ。
そりゃびっくしたモルドレッドにも殺される。

そういえば姉さん達ハショられてましたね。
モーガナだけでした。そのへんが140分にまとめるコツですか。

あとケイ兄さんも案外いい人で。
従者としてやって来たパーシヴァルに、厨房で飯でもつくってろ、
って言ってたくらい。暴言なし。
役者の顔は姑息そうで文句なしでしたけど。
アーサーの乳兄弟ケイの傍若無人な無能ぶりがマロリー本において
もっともツボにはまるわたしとしては、ちょっと残念。
結構優遇されてました。国務長官にしてあげよう会話カットだったのに、
騎士達みんなが聖杯探しに行ってる間も、ケイだけ城にいるし。
アーサーに兄上って呼ばれてるし。

そういえば最後、すごかった。
モルドレッドと刺し違えたアーサー、胸の下に槍が貫通してるのに、
串刺しのままその槍を引き寄せ、近づいたモルドレッドに切りかかります。
それ、モルドレッドが手を離したら終わりじゃないんですか。
びっくりした顔して槍と一緒についてきちゃうモルドレッド…。
いやまあ、びっくりしますけど。びっくりしましたけど!

で、倒れたアーサー、パーシヴァルが抱き起こした次のシーンでは
槍、消えてます。抜くの大変だっただろうなあ!
なにしろ槍の半分くらいまで自分で進んでたから。

最後の最後でそんな、おかしげなことしなくってもいいのに、って
かなり笑わせてもらいました。ありがとう。

でも全体にはよかったと思いますよ。
概要を追うだけの話にまとめらてましたが、そのまとめ方が手堅いんで
スタンダードなアーサー王といえばこの一本て感じです。
意外に画面構成とかもよかったですし。
話のつなぎはスッパスッパ切れててやけに展開早いんですが、
その素っ気なさが伝記ものというか、古典というか、それらしくてよかったです。

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コメント

追記:
超大作にふさわしいコメント。相変わらずバッサリ切り込んでくれます。その快刀(妖刀?)に小気味良さを感じました。
ところでクライブ・オーエンってルー大柴に似ている。なんで最近あんないい役ばかり張るのだろう。あの役者の悪役は嫌いではないが。
エクスカリバーもう一回見ようっと。

投稿: ルー | 2005/12/30 00:51

こちらにもありがとうございます。
超大作に対してセコイことにばかりキレててすみません。
もうひとつすみません、クライヴ・オーウェン好きです。
あのフェロモン値の高さには乙女心がなぎ倒されます。
典型的なTDH(Tall, Dark and Handsome)の人だと思うんですが、
どうでしょう。(周りに同意を得られたためしはないです)
アルトマン監督の『ゴスフォード・パーク』の執事を見て以来、
クライヴがジェームズ・ボンドやればいいのに、と思ってましたが
断られてしまいました。残念です。
でも悪役の方が好きです。
いい役だとあの微妙な汚さがショボさに変換されがちなので…。

投稿: kishi | 2005/12/30 15:11

氏は基本的に骨太できたならしくて好きなのですが、クローサーとか無表情な役、卑猥な言葉でウキウキしながら、でも眼だけギラギラしているところは結構面白かったです。これは「同意」という意味で。こちらこそありがとうございます。いつも小気味良い楽しい内容です

投稿: ルー・オーエン | 2005/12/30 16:39

『クローサー』よかったです。結構キてる感じがお似合いでした。
キモいんだかセクシーなんだかよくわからん、て感じが。
“最近のコメント”欄が何気なく連作ルー大柴化してて吹き出しました。
ありがとうございます。なごみます。

投稿: kishi | 2005/12/31 13:16

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