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2005/12/16

『おとぼけオーギュスタン』横ズレ感想。

(原題:『AUGUSTIN』)1995年・仏。61分。augustin

監督・脚本:アンヌ・フォンテーヌ
撮影:ジャン=マリー・ドルージュ
オーギュスタン・ドス・サントス:ジャン=クレティアン・シベルタン=ブラン
本人:ティエリー・レルミット

役者(志望)兼保険会社勤務オーギュスタンの、オーディション受けたり
会社行ったり、役づくりしたりのズレまくりの日常話。


『おとぼけオーギュスタン』ってなってますけど、
これはおとぼけとかそういう問題では…!
横ズレしてます。

好きな言葉で”lateral”ってのがあります。
辞書的な意味では「横の、側面の、側方の、」とかですが。
スラング的に言うと「横にずれちゃってる」、つまりラリッてる。

いやまあ、オーギュスタン、ラリってはいないですけど、
完全に現実世界から遊離しちゃってます。

まさにオーギュスタンが出演したという映画、『ちょっとズレてる』。
いや完璧にズレてるか。

シベルタン=ブランの演技、素晴らしいですよ。
わかりやすく鼻の頭に皺寄せたりのおかしい演技で、
どもりとか、本気でそれっぽい。
アンヌ・フォンテーヌとの姉弟作品ということですが、
よくまあ、これだけうまく合致したものだと。

いやらしい自分勝手根性にも関わらずなんだかかわいい憎めない役、
というまあいつもどおりのコメディ・キャラなんですが、
ほんとにいやらしいのに憎めない、を演じ切ってるあたりがすごいです。
普通、最初から別に憎くないかわいいキャラか、フォローが効かずに憎いか、
どちらかが多いもんですが、これはまさに「いやらしいが憎めない」。
すごい魅力的。
大マジ・イノセントを存分に振りまいてくれます。

オーディションを受けるために訪ねたエージェントに
どういうタイプの役がやりたいの?と訊かれ、
「ヘンな役とかマイナーな役はダメですね
内面の感情っていうか心理的なのもイヤだな
感情って苦手ですそれと絶対にイヤなのは肉体的な接触ですね
でもそれ以外なら何だってOKですよ」
って言うオーギュスタン。極めて真剣。
笑える。相当な皮肉、パロディ。
どう見てもエキセントリックなおまえが言うな、
っていうおまぬけさと同時にフランス映画全般に対する皮肉じゃないですか。
ダンプの運転手とか車掌とかアクションとかがいいな、っていうとことか。

さらにエージェントにベル・ボーイの役があると言われたオーギュスタン、
「わかりやすい役ですね?
それこそ僕が求めてる役だ
よけいなことを考え込まずに済む
部屋を掃除したりとか動きがある役だから」
って。もうここのシーンだけで素晴らしい作品です。

ゲスト出演のティエリー・レルミット、本人役なんですが、
オーギュスタンとオーディションでの台本読みをやってくれます。
さんざっぱら失礼な口を利かれて苦笑混じりながらも
どこか微笑ましい、って顔で結構オーギュスタンを気に入ったようです。
さすが「いやらしいが憎めない」。

このやりとり、わたしは『奇人たちの晩餐会』(1998)を先に
踏まえてしまったため、おかしさが4割増しなんですけど。たまらん。
“奇人”を相手にするレルミット、っていう。
このオーディションの内容自体はルコント監督の
『タンゴ』(1993)(全然内容覚えてない)だったんですか?

(オチバレ)
それでちゃんと役断ったんですね。出てないですもんね。
最後、せっかくとった役を断り何をするのか、このばかは、
と思いきや、かねてからの希望、政府公報のスポットじゃないですか。
意外な一貫性にちょっと感心。
いや、そんなレベルのものじゃなかったですね。
死ぬかと思うほどツボ入った。

ウサギのウイルス病予防のためのワクチン接種推奨CMらしいです。augstin866
白衣着て無意味なマフラー巻いて右に注射器、
左手にウサギをつかんで、オーギュスタン、セリフを言うんですが、
それが自分のツボに入っちゃって何テイクも繰り返します。
今まで笑われる側だったからか、ここで自分で笑っちゃってる
オーギュスタンはなんだかふつうにかっこかわいいです。すごいイイ。
そしてウサギ! 白いウサギ!

人としての優しさゼロ呼ばわりされている常日頃なので
時折自分でもびっくりするんですが、ええ! 動物大好き!ウサギも大好き!

これがリテイクしてるうちに嫌になってくるのか、
じたばた暴れたりぐんなりしたり、笑いっぱなしの
オーギュスタンと足し合わせてどうにもツボです。
激キュート。
首根っこつかまえて引っつかんでるものだから、
最初てっきりニセモノだと思えば、生きてるし。
動物愛護的にオッケーなんですか?
フランスでは許されるんですか?

いやあ大好きだ、フレンチ・コメディ。

フランス映画、コメディに限っていえば
あの皮肉とブラックさと低調なムードが最愛とさえ言えます。

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