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2005/12/09

『ヒッチャー2』殺人鬼ダメ出し感想。

(原題『The Hitcher Ⅱ: I've been waiting』)2003年

Directed by Louis Morneau
Writing credits
Eric Red (characters)
Molly Meeker (written by) &
Charles R. Meeker (written by) &
Leslie Scharf (written by)
Cast
C. Thomas Howell .... Jim Halsey
Kari Wuhrer .... Maggie
Jake Busey .... Jack
Shaun Johnston .... Sheriff Castillo

『ヒッチャー』でヒッチハイカーに酷い目遭わされた主人公ジムは
15年後刑事になるも事件のトラウマを抱え(そりゃトラウマにもなるだろう)、
ある日過剰防衛がもとで警察をクビに。
立ち直りを図り彼女と出かけた先で再びヒッチハイカーに出くわし…。
とまあ、15年後のジム・ハルジー役も1作目と同じ役者だなんてことが
信じられなくて思わず見たんですが。

はい、これ、ものの見事に失敗してますね。

クレジットを日本語で整理するのさえ面倒。

全ネタバレで参ります。もう見たか、一生見ない方はどうぞ。
いや一生見なくていいと思うんだけれども。
『ヒッチャー』、1の方はホラーとしてはかなりの高得点だったので、
オススメです。ホラー好きには。 ので、1を見る予定の人も避けてください。



ハイウェイで小僧ががんばるホラー自体ももすごいが、
小僧が中年になってさらにがんばる続編ホラーってあり得んのか、
と思ってたら、あり得ませんでしたね、そんなの
ええ、わたしの白昼夢。

最初、ジムの彼女が出てきたところで、必要ないんじゃないかと思ったんですよ。
前回の怖さを引き継ぐんなら、ジムは基本ひとりで狙われるべきで、
なにもない荒野のハイウェイをひとりで走るしかない恐怖を前面に置いた上で、
警察に追われたりロマンス入れたり、くらいにしないと話は締まらないと。
彼女役、演技も微妙だったし。(そこはみんなお互い様)
まあ彼女の役割は、誰にも理解されないトラウマで
パラノイア状態にあるジムのやばさを際立たせ、さらに事情説明を求めることで
“前回までのあらすじ”を稼ぐ係と思ったんですが、
甘かった。

銃で撃たれたジム、てっきり防弾チョッキでも着てるかと思えば、
「必ずあいつを殺すと約束してくれ」って、え?! 
「死なないでジム」って、ギャー!! あっさり殺しやがった! 
彼女に主役交替かよ! なんて無茶だ!
つい先日『死霊のはらわた』リメイクが女主人公になってたりして、
なんて適当なこと言いましたが、ほんと、ホラー界の男主人公は絶滅します。

まあ話の引き継ぎ役だけでもおもしろかったけど。
完璧PTSD状態で、なんどもフラッシュバックするんですが、
もちろん映像は17年前のハウエル本人です。便利ですよね。
似てますから。(当たり前)
ジョン・ライダー映像は出てきません。ギャラ問題とかいろいろあるんでしょう。
ジムのトラウマぶりはすごかったです。ずっと汗だらだら。
"Do not pick up hitch hikers"って書いた看板を
目を見開いて凝視する姿が笑える。そう、それで酷い目遭ったから。
さらに事故った車の横をそのまま通り過ぎようとするジム。
彼女・マギーに助けなきゃ、と言われても「誰もいない」と決して車を
止めようとしないジム。そうです、道路脇の車には
死体かシリアル・キラーしかいないからね。
このトラウマを15年振りに気持ちよく克服!とかじゃあないんですね。

そういえばジム役のC・トマス・ハウエルの左耳に
ピアス・ホールが見て取れるのがものっすごい気になりました。
PTSDに悩まされるダメ警官の耳にピアス痕って。
あれ、メイクとかで隠せないんですか。

話そのものの失敗感はなかなかです。
怖くないし間延びしている。
『ヒッチャー』の不思議な時間配分は実は有効な組立てだったようです。
先に怖いシーンを立て続けに入れておいて、その後のゆっくりした流れの間も
なんとなくつきまとうジョン・ライダーの怖さで持たさせるという。
導入のだるさを防ぐいい作戦です。ただしこの逃げ馬作戦は
よっぽど早い馬じゃないと無効。一般にサシ馬の方が強いし気持ちいいので。
ジョン・ライダーはスタート早かったですね。
そして最後までよく走った。
いやまあ今回はトラウマ・ジムが消えてからは
まんべんなくだるかったんですけど。

これ撮った人は『ヒッチャー』の怖さがなんだったか、
まるでわかってないんじゃないでしょうか。
要はハイウェイの真ん中でストーキング。これですよ。
進行方向に先回りして追ってくる、逆説。
これに飛行機持ち込んじゃった時点で、完璧に損なわれてます。
今回、ジムの彼女マギーは途中で逃げられるわけです。
そこをジムの必ずあいつを殺してくれ、という言葉で縛りをかけてるわけですね。

1に引き続く小ネタはきちんと入れようと随所がんばってて、
空の銃とかロープとか、ネタ撒きは丁寧です。
でも話の要はそこじゃあないだろう、と。いや笑ったけど。

致命的なのは殺人鬼が怖くない…。
そもそもなにが目的なのかわからん。
ライダーのは俺と遊んで欲しいな、そんでうまくいったら止めて欲しいな、
っていうストーキング目的がわりと明確に見えてたし、
本人笑いながらもどこか切迫してマジでしたから。
さらに得体が知れないからよかったのに、今回のは目的が謎なわりに
実体感がしっかりある。しかもバカそう。完璧タラタラ遊んでるだけです。
ていうかヤツ追ってきそうにないし。
ジョン・ライダーは逃げてもどこまでも追ってくる気配ありありでした。
ライダーが捕まっても、たとえジムが東海岸まで逃げても、
ハイウェイの妖精・ライダーはきっと先回りしてたでしょう。
だから怖いし、ヤツもう殺すしか!って逆ギレになるわけですよ。
今回は逃げちゃえばいいじゃん、て思いました。

ルトガー・ハウアーのあの酷薄そうなセミ北欧顔、
茶目っ気のかいま見えるクールなハンサム具合がときめきの源だったのに、
今回はどうみても西海岸アメリカン、カリファルニア顔(しかもバカ)。
あのむき出しの歯グキがすごい気になるんですけど。
ていうかほんとに、ライダーだったんですか?
「俺にはわかる。見かけは違うが、あいつだ」って、マジで?!
ええ? ほんとに妖精さんだったの?
ジムの被害妄想の中以外でもあいつ、「ずっとあんたを待ってた」って言いましたよね。
(ていうかこの副題すごいですよ。I've been waiting for you
って言ったyouがさっさと死んでんのに!)
わたしはてっきり当時の事件を覚えてるマニアックサイコによる
コピーキャットみたいなんだと思ってたんですけど。
マギーは最後までライダーのつもりで言い通してたし。
「あんたが15年前に殺した…」って。
1作目の脚本エリック・レッドがキャラ原案としてクレジットされてたのって
そういうことなんですか?
いやでもそれ、キャラ違いすぎ。

気になったついでにいくつか。
冒頭、誘拐犯が途中で車止めるものか!
しかもトラブッた飛行機のために! どこのバカが道路の真ん中に止まった
飛行機の修理を手伝ってやろうと思うんでしょう。どこの親切な犯罪者だ。
まあこの出だしのヒネリはよかったんですけどね。
いかんせんそれだけでしたね。

ラストなんですけど、爆発で吹き飛んだ体のパーツが同じところに落ちるのが
わからないんですが。違う向きに力がかかるからこそ千切れるんじゃないんですか。
どうなんですか、そこ。力学的に。

あとはマギーが木造のタンクの中に入れられ、殺人鬼ジャックに
「壊れやすいから気をつけろ」と言われます。
実際そのあとマギーが脱出を図っただけで
タンクはバラバラに崩れましたが、ええと、
ジャックはどうやってマギーを担いでタンクに入れたんですか?
タンクを支える足場の脆さからしても、到底二人分の体重を支えられません。
なんか謎ばっか。
やっぱりあいつも妖精さんだったと理解すればよろしいんでしょうか?

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