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2005/12/10

『ボディ・パーツ』丁寧心理感想。

(原題:『Body Parts』)1991年

事故後右腕の移植を受けた精神科医ビルは、次第に
腕の様子がおかしいことに気づく。
やがて腕の提供者が死刑囚だったことを知るが
腕は彼の精神状態にまで影響を及ぼし始め…、って話。

パッケージのアオリに笑ってなんとなく借りてきたんですが、
これの脚本・監督が『ヒッチャー』のエリック・レッドだと知ってびっくり。
どうもこの人はわたしのツボをきちんと押さえてくれるようです。

アオリでは以下のものが。三角形で結ばれてます。

狂気の人体移植魔・天才外科医Dr.アリス
驚異の生命力を持つ・第一級殺人鬼フレッチャー
家庭想いの正義漢・犯罪心理学者Dr.ビル

なんだそれ! どうひっくり返してみてもドクタービル負けますが。
家庭想いがこの場合この対戦のなんの役に立つんですか。
ホラーで正義漢て…。なんのコピーにもなってません。

(オチバレ。
というかVSで結ばれてるのかと思えば、前者2人はチームじゃないですか。
そしてフレッチャーVSビルどころか、
フレッチャー頭部VSフレッチャー右腕じゃないですか!

大した話ではないんですが、微妙にいいですね。
好きなホラーのタイプとしては心理描写の丁寧なものなんですが、
これもわりとそういう感じです。あらすじのばからしさからは意外なことに。

普通のホラーは「ドーンッと怖い目にあったらキャー!」みたいな単純な
つくりが多いじゃないですか。心理描写が丁寧というのは
その場で怖い目に遭ってなくてもどんどん追い詰められるというか、
襲われる合間に恐怖心がどんどん増すというか。
ホラーモードの恐怖バロメーターじゃなくて、いつもどおりの精神状態で
怖さを測る感じです。だから一般的なホラー主人公が気にしない、
ちょっとした不快感とかもきちんと描かれます。

移植後初めて右腕を見るビルがわずかに涙を零すんですが、
こういうところがいちいちツボなわけです。
事故によって自分の人生が変容したことを目の当たりにする描写。
感傷的な諦めがうかがえて丁寧です。

まあそういうのって、ぬるだるくなりがちですが。
要はところどころ、やけに好みだったということで。

でもアクションも発想が冴えてますよ。
事故シーンのふつうあり得ない展開とか。
ドンとぶつかるだけじゃないんです。
腕が折れたりするシーンも折れ方びっくりだし。
ディティールにこだわり感じます。

ちゃんとした映画とB級ホラーを区別して見ている人にはオススメです。
つまり低調ホラーとしては佳作です。

全体に「嫌だな“移植”!」という不快感に溢れる。
エリック・レッドは、なにが不愉快か、なにが怖いか、といったことを
きちんと理解してる人なんでしょう。
つなぎ目をしつこく映してわざと嫌悪感あおります。
(ていうかわざと縫い目を増やしている。)

(ネタバレ)
最後の方、つなぎ目を境に腕がぶっちぎれたり、かなりヤな感じです。
自分のむきだしの両脚を2本、肩に担ぎ左腕を手に持って
走りながらそれを取りこぼしそうになる様子はもう、
ツボ入りすぎて堪りませんでした。
結構よくできてる脚でしたよ。ごろんごろんと肩に載せようとする
物扱いのわりに、柔らかい皮膚や肉の質感が見えるところが。

ところで主人公ビルは右腕をなくして移植を受けるんですが、
わたし片腕だけなら移植要りません。
両脚の移植を受けたバスケ好き兄さんの気持ちはわかります。
車椅子生活からやっと抜け出せて移植手術に感謝している、ってのは。
でも片腕ならなあ…。
両腕なしか移植か、っていったら移植な気もしますが、
片手あれば結構普通の生活できますよね。
しかもビルは精神科医です。大学講師です。
両腕がどうしても必要な生活してないんですよ。

個人的には、片腕の移植ならやっぱり遠慮します。
片方だけでも生活できないことないし。キーボード打ちにくいですけど。
内臓とかなら見えないからいいんですけど、
手なんて自分で最もよく見る部分じゃないですか。
暇なときに何気なく手を見下ろして、両手の爪の形が違うことなんかに
気づくわけですよ。
ちょっと手のひら大きいな、とか。
新しい方の指はササクレが少なくていいな、とか。
一生気になりそうです。

でも最後、結局腕はなじんで自分のものとしてよく機能している、
とかいうところが実はフォローだったりするんですか?
移植恐怖ばっかりあおったら問題だとかいう良心ですか?
まあ映画のなかの腕は役者本人の腕だから違和感なくていいですよね。
あのフレッチャー役の腕がほんとに移植されてたとしたら、たぶん、
手の大きさも腕の太さも全然違ってもっと微妙に嫌な感じだと思いますけど。
そこまで特殊メイクとか別撮りとかで細かくやる芸当があれば
もっとよかったかと。

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