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2005/12/11

WILCO、アメリカの停滞。

『Kicking Television LIVE IN CHICAGO』
RECORDED LIVE AT THE VIC THEATRE, CHICAGO, IL May 4-7, 2005

というわけで、11月に出たWILCOのライヴ盤買ってまいりました。

WILCOの地元シカゴということで、泣けるほどの愛され感。
いやまあWILCOはどこ行ってもファンには愛されてますけどね。


残念だったのは最新アルバム『A Ghost Is Born』からの
"Theologians"が入ってなかったことです。
ocean, motion, emotionという歌詞の韻が素晴らしく胸に応える
新アルバムにおける名曲入り決定のタイトル・ソングなんですが、
(詞の一部に”A ghost is born”と入る)
これは収録されていません。
収録対象のThe Vic Theatreでのライヴでは毎回歌われていたはずなので、
出来がよくなかったのかなんなのか、ほんと残念です。
まあ毎回微妙にセットリスト変えながら
30曲近く(最終日なんか36曲!)も演奏しているので、
全部なんてとても入りゃしないんでしょうが。

全体には『A Ghost Is Born』を中心に、昔の名曲もちらほら。
2枚組みの2枚目、いきなり"Via Chicago"から始まります。
たまらん。シカゴ大喜び。
When he gets caught, I won't get up
And I won't go to sleep
I'm coming home
I'm coming home
Via Chicago
なんてサビ、歓声上がりますよ。

でも曲単品としては1枚目、M10。
"Jesus, etc."にはほんと、血の気がひきます。
イントロから皮膚が総毛立つような名曲ぶり。
Jesus, don't cry
という出だしからジェフの歌のよさが凝縮されているようで、完全に参ります。

ジェフ・トゥウィーディーの声はほんと、素晴らしい。
宝です。発音も含めて。
これに韻を踏む独特の歌詞づくりが合わさって、最高です。


普段はしょうもないくらいのイギリス好きで、
ロックも大抵イギリスものの線の細さとエッジにまいってるんですが、
ときどき例外的にアメリカらしさが愛しいバンドもいます。
アメリカ独特の寂寥、停滞なんかがリアルなバンド。
WILCOは常にもの悲しいです。

オルタナ・カントリーというジャンルからの脱却、
とかいう話もありましたけど、WILCOは
オルタナ・カントリーでいいんだと思います。
なにしろメンタリティがそれなんだもの。

ネガティヴなイメージの歌詞の、居心地の悪い中途半端さも好きです。
死ぬほど痛いってレベルまでは決していかない、その分
リアルで停滞感が悲しい。濁った皮膜でおし包まれるような、
まさに『A Ghost Is Born』のジャケットの卵のように
卵殻膜の中で心地よさと失望に揺れる感覚。

今回のライヴ盤はそこらへんを精確に再現していると思います。
初の公式盤ということもあって、マストです。


WILCOを知ってはいるけれど、いまいち手を出す機会がない、
という方はWILCOのオフィシャルに行ってみるとどうかと。
ここからいくつかサンプル視聴できます。
新アルバムからがほとんどで、もっとバラエティあるとよかったんですが。
過去作からは"Airline to Heaven"。美しいポップ・カントリー。
どれもちゃんと一曲通して聴けます。さすがのサービス。

(なにしろWILCOライヴ、ノン・フラッシュ撮影と録音は可です。
さらに非営利目的なら音源の交換も推奨という、
このバンド自体が非営利目的なんじゃないかと疑う素晴らしさ。)

アメリカ勢ではNeil Young(カナダだけど)、Yo La Tengo、Pixies、
Smashing Pumpkins、Pearl Jam、Nirvanaあたりがもっとも胸にくる
わたしの好きなバンドということで、(すごい非現役感)
ギター・ノイズとポップなメロディ、ちょっとしたサイケ感、
それにアメリカらしい膨張した行き場のなさ、悲しさだとか、
そういうのがぴんとくる人には
ものすごくいいバンドだと思います。

でもネガティヴネガティヴ言ってますけど、
和むと言われるほどの曲のクウォリティも持ってますんで、
イージーなポップスとしても案外いけるんじゃないですか。

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