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2005/10/13

悪辣パイソンズ。

『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』(原題『Monty Phython's The Meaning of Life』)
おまけ短編入りDVD。ともに1983年。

ひどいです。すべてを笑いのめします。人生ってなんて残酷なんだ!
「生きることの意味って?」をキーワードに、人生の要所を章立てして
出産、宗教から、学校、セックス、残酷な大人とのラグビー、
カードと時計とケーキの贈り物には命を引き換えてでも感謝を強要するイギリス人、
民主主義的イギリス軍隊、戦場でも慌てないイギリス軍人、
臓器移植、偏見、死、なにもかも笑っておちょくってばかにしくさってます。
そんな中の挿入ミュージカルシーンさえも、ミュージカルを
ばかにしてるんじゃないかっていう、出来のよさと悪辣さ。
エリック・アイドルの曲がいやによい分、悪意とパロディが
増幅されます。もう全編わらいっぱなし!

ml-9個人的に好きなのは「大人対子どもラグビー」です。
ちっさな小学生くらいの子どもたち相手にマジでタックルかまして
その上殴る、蹴る、踏む、足引っ掛ける、などの虐待(もうその域)繰り広げて
ml-3勝利するチーム、そして大喜びする応援団(みんな立派な大人)。
秀逸。世の中って残酷だよね!っていう凄まじさ。あんまりひどくて爆笑。

そして肝臓提供カードを持っていたばっかりに生きたまま肝臓をとられる男。
男の視点で体からブタかなんかのリアル生臓器が次々に取り出されていく間中、
ギャー! ギャー!って単調に続く悲鳴と、ぴゅッと吹き出る血がすごい。
並みのホラー押しのける怖さ。しかも笑える。そこがホラーの肝心さ。

なんというか、世の中の道徳的価値観に突然大人数で襲いかかり、
はがい絞めにした挙句殴りつけて走り去る、みたいなゲリラ的コメディー・ミュージカル?
殴られた道徳的価値観諸氏のぽかんとしたショック顔または
なにに襲われたんだかまるでわかってない間抜け顔が目に浮かぶようだ。

「人生の意味って?」って言いながらそれ自体を笑いのめすのかと思いきや、
出演してくれたお魚さん(人間)達への謝辞と、平和と幸福を願うヒューマニティ。
本気? つまり残酷描写はヒューマニズムの表れ?
ただしその、あんまりにもしょうもないブラックさで、よくある‘ちょっと皮肉ないいお話’の
範疇はゆうに超えてます。やりすぎ!そこがすてき!
どうも道徳的価値観の皮をかぶった残酷諸氏の横面を殴る映画でした。

ところでテリー・ギリアム、担当のアニメーションとかすごくいいです。
監督・脚本の冒頭おまけ短編、終身雇用会社クリムゾン
(原題『The Crimson Permanent Assurance』)。
暗喩に満ちた社会風刺ぶりと動くビルディング、褪せた映像なんかが
まんま2年後の『ブラジル』。ギリアムのバランス感覚が大好きだ。
奴隷のようにこき使う終身雇用会社に蜂起したジジイども、
ビルの船ではるばる海を越え、ウォール街(たぶん)経済まで荒らしに行く。
気持ちいいほど無茶な話なのに、このさわやかなバランスはなんでしょう。
皮肉というより風刺、寓話といった向きの、ちょっとお伽話がかったギリアム節、
オチまで含めてものすごく好みです。いいおまけでした。

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